ヤンゴンで「語学学習カフェ」をオープン 建築士でカフェオーナーのニンイーラインさん

 

ミャンマー人は勉強好きな国民として知られる。ヤンゴンの街を歩けば語学やコンピューターの専門学校の看板が目につき、親が子の教育に熱心なだけでなく、自分で学費を払ってダブルスクールをする学生も多い。そんなヤンゴンで今年3月にオープンしたのが、語学学習カフェ「ヤンゴンランゲージカフェ」だ。オーナーは、英国の大学院まで修了した若手建築士のニンイーラインさんだ。どうして今、語学をテーマにしたカフェをオープンしたのか、その理由を聞いた。
ニンイーラインさんは、建築士で、自分の事務所「デコード・アーキデザインスタジオ」を経営していますね。どうして語学がテーマのカフェを開いたのですか。

 

はい。昼間は私のスタジオで設計の仕事をしています。建築の設計というよりは、内装のデザインや、飲食店のコンセプトづくりのコンサルティングなどが主な仕事です。ミャンマーでは、しっかりと完成後のイメージを固めないまま建築や内装をはじめ、あとで困ることが多いので、そういったプランニングから相談に乗っています。飲食店や学校などが顧客で、全部で6人のスタッフがいます。

 

私は英国に留学して、大学で建築を、大学院で都市計画を学んだのですが、英国では図書館が充実しているのに驚きました。教材や資料があるだけではなくて、勉強に集中できる環境が整っていました。留学のために英語も勉強したほか、高校から日本語を学んでいるのですが、ミャンマーにはよい教材がありませんでした。その経験から、図書館のように教材が充実した語学の勉強ができる場所を作りたかったのです。


ニンイーラインさん設計事務所「デコード・アーキデザインスタジオ」最高経営責任者(CEO)。今年3月に「ヤンゴンランゲージカフェ」を事業パートナーとともにヤンゴンに開店。マンダレー出身の中国系で、ビルマ語、中国語、英語など6か国語を駆使する。英ニューキャッスル大学で建築を学び、同大学院で都市計画の修士号を取得した。
カフェでは英語や日本語、フランス語などの教材をそろえているほか、勉強がしやすいようなデザインにしました。勉強するためのデスクなども、うちの事務所で設計しました。実は、カフェづくりというのは、設計と共通点があります。この店舗の設計は私がしました。実は内装をかなり安くあげています。2フロアで50人ほど入ることができ、1階は勉強に集中できるスペース、2階は自宅のように裸足でくつろげるスペースにしました。

 

カフェはどのように利用できるのですか。

 

そうですね。ミャンマーでは、語学習得のために学校に通う人は多いのですが、独学をする人はあまりいません。そこで、独学する人のために自習がしやすい空間にすることにしました。ゆくゆくは、自習する人たちが集まって、自主的な勉強会を開くようなコミュニティができることを目指しています。先生と生徒の関係というよりは、学び合うグループというイメージです。そのために、もっと教材を増やすほか、メッセージボードを設置して、学習仲間を募集するようなことがしやすいようにしたいと思います。学習しながら交流できるように、英語のスペルを学べる「スクラブル」などのボードゲームを用意しています。語学を学ぶ人がつながるプラットフォームになればいいと思っています。

 

今のところ、ミャンマー人と外国人の割合は、8対2くらいですね。ミャンマー人の語学学習者は、英語が最も多く、続いて日本語、中国語、韓国語、フランス語、といった感じでしょうか。外国映画の鑑賞イベントや音楽イベントなどを行っています。もっと文化紹介の企画を増やしたいのですが、手が回っていません。

 

ニンイーラインさんが英国で勉強した建築や都市計画については、ミャンマーでは人材不足が深刻です。待遇の良い仕事はいくらでもあるのではないかと思いますが、どうして個人事務所とカフェをやっているのですか。

 

確かに、大きな会社で建築士として働くこともできるでしょうし、海外の仕事にアプライする道もあると思います。しかし、そういった企業では、確かに大きなビルを建てるプロジェクトには関われるのでしょうけれども、自分が担当するのは、そのほんのほんの一部です。設計でもカフェでも同じですが、小さくても自分ですべてができるほうが魅力的です。このカフェも自分でコンセプトを考えたものです。お客さんがこちらの想定しない利用の仕方をすることもあり、悩みは多いのですが、この仕事を楽しんでいます。

 

【インタビューを終えて】

日本でもひところ、東京・新大久保などで韓国語学習カフェなどが流行したことがあった。ヤンゴンでも海外への留学や出稼ぎなどのチャンスが増え、語学学習者が増えている。そうした中で、こうしたコンセプトの飲食店はニーズに合っているのかもしれない。こうしたカフェは、経営者以上に顧客が作るコミュニティの雰囲気が成功のカギを握る。このカフェがどういったコミュニティを形成していくのかが楽しみだ。(掲載日2018年9月28日)