「来期は売上100%増に」 社員も倍増、一気に成長狙う ジーネクスト・ミャンマー社長の岩佐さん

 

中国やベトナムなどの人件費高騰を受けて、IT分野のオフショア開発の地として注目されているミャンマー。そのミャンマーに起業家と言う形で進出した男性がいる。ジーネクスト・ミャンマー社長の岩佐光平さんだ。ヤンゴンを開発拠点とすることの利点や苦労を聞いた。。

 

――ジーネクストは、顧客情報管理(CRM)のシステムを開発していると聞いています。どうしてヤンゴンに拠点を構えることにしたのですか。

 

そうですね。ジーネクストは、お客様相談室などを効率化するシステムを開発しています。その一部をオフショアという形で、海外で開発しているということになります。以前はベトナムで開発をしていたのですが難しい面もありました。2013年ごろですが、上司が「ミャンマーっていう国が面白いらしいぞ」と言いまして、それで私も視察に来たのです。そうすると、人がとてもいい国だということがわかり、評判も良かったので、ミャンマーに拠点を作ることにしました。自由に仕事がしたかったこともあり、自分も出資する形で経営者となりました。


岩佐光平(いわさ・こうへい)さん

 

1976年埼玉県生まれ。専門学校のデジタルハリウッドでデザインやプログラミングを学ぶ。フリーのプログラマーなどとして活動したのち、ジーネクスト入社。2014年からヤンゴンに移住し、現在ジーネクスト・ミャンマーの出資者で社長。教育企業TIAMの出資者で取締役最高技術責任者(CTO)。

ヤンゴンではオフショア開発とともに、当初ミャンマー人向けのウェブサービスも進めていました。例えば、ミャンマー人向けの「バードネーション」というアプリを作ったことがあります。これは、ミャンマーの仏教徒が鳥を逃がして功徳を積む放鳥をアプリ化したもので、ユーザーが鳥を放つと、実際にそれがどこかに寄付されるというサービスでした。しかし、始めて見ると鳴かず飛ばずでした。インパクトのあるサービスを始めようと思ったのですが、ダウンロードの問題などがあり難しかったですね。

 

とりあえず今はオフショア開発に注力する時期と位置づけていて、営業の強化とミャンマー人の人材育成を進めます。来期は売り上げが100%増という目標を立てていて、8割方達成できるのではないかと思っています。IT人材については非常に採用しづらく、ベトナムに比べると人材の層が薄いのですが、インターンなどを経て採用して育てるようにしています。一時期は社員の半分が引き抜かれそうになるなど大変な時期もありました。そして、社員に成長を実感してもらうことが大切だと思い、勉強会などを積極的に行うようにしました。その甲斐もあって、ここ1年は一人も辞めていないですね。近く現在の倍に当たる30人までスタッフを増やすつもりです。

 

――子供向けのプログラミング教室の事業にも参画していますね。どうして教育事業を始めたのですか。

 

はい、この「キッズラボ」はほかの日本人2人と一緒に始めました。ジーネクストとは関係なく、個人で出資しています。ヤンゴンで子育てをしていて、子どものための教育の機会が非常に少ないという問題意識から始まりました。自分でパソコンでゲームを作ることでプログラミングを学ぶことができる教室です。このカリキュラムをほかの学校向けに提供することも想定しています。

 

この事業には私の実体験も関係しています。私は小学生のころ、ファミリーコンピュータ(ファミコン)が流行ってまして、父親に買ってくれるようにせがんだのです。そしてある日父親が「買ってきたぞ」と持って帰ってきたのはファミコンではなく、MSXというパソコンでした。まわりの子どもたちと一緒にファミコンができず大変残念だったのですが、その買ってもらったパソコンを、雑誌を手に取りながら使っていると、雑誌に書いてあるようにプログラムを入力すると、ゲームができるようになることがわかりました。実際やってみるとゲームが動いて、その後自分でゲームのプログラムをいじるようになりました。「ゲームって自分で作れるんだ」と驚いたことを覚えています。ヤンゴンの子どもたちにも、そういう体験をしてほしいと思いました。

 

――その他にもヤンゴンでいろいろな活動をしているようです。今後の展開などお聞かせください

 

最近、日本の団体と組んで、小型で安価なコンピュータを使って、子どもにプログラミングに親しんでもらう活動を始めました。PCN(プログラミング・クラブ・ネットワーク)というサークルのヤンゴン拠点を立ち上げました。キーボードと小型のディスプレイがついて3,000円程度なので、ミャンマーでも農村部の教育などに役立てることができるのではないかと思います。

 

【インタビューを終えて】

岩佐さんは子どものような笑顔を浮かべるひとだ。それは、好きなことを突き詰めることで仕事にして、フリーランスから経営者になった経験の表れでもあるのだろう。岩佐さんの周りにいる仲間たちもまた、個性的な人たちがそろっている。常々今のヤンゴンはいい時代だと思うが、こうした日本人たちが面白いことを始めているというのも、そのひとつだ言えるだろう。(掲載日2019年3月22日)