オタク高じてショップオーナーに 日本文化の愛好団体「MM OTAKU」立ち上げたリンアウンチョーさん

韓流ドラマが流行するミャンマーだが、日本のアニメや漫画、ゲームなどのファンである「オタク」たちも増殖している。軍事政権の情報統制下で海外の情報が少ない中で少年時代を過ごした20代の若者たちは、インターネット環境の急速な改善の中で、ネットの海から自分の好きなアニメを探しだす。そのような今どきのオタクたちの愛好者団体「MM OTAKU」の創始者でリーダー格のリンアウンチョーさんに、ミャンマーのオタク事情を聞いた。
――日本好きが高じて、ということなのかもしれませんが、愛好者団体まで立ち上げるというのはすごい思い入れですね。これまでのオタク遍歴を教えてください。

 

初めて見たアニメは12歳のころの衛星テレビで見た「るろうに剣心」だったと思います。そのころはまだ幼かったので、ただ好きなだけでした。本格的にアニメを見るようになったのは、大学に入り時間ができてからでしょうか。インターネットカフェに入り浸り、ナルトやワンピースといった日本のアニメを検索してダウンロードして、見ていきました。私は、フェアリーテイルやワンピースという冒険ものが好きですね。日本のアニメはストーリーやキャラクターが魅力的ですね。ハリウッド映画は好きですが、韓流ドラマは盛り上げすぎなところがあり、あまり好みではありません。

 

そのうち、ゲームにもハマり、ニンテンドーの携帯型ゲーム機を買ってプレイしていました。ポケットモンスターのシリーズはすべてやっています。特にファイヤーエムブレムのようなロールプレイングゲームが好きですね。マリオシリーズもやります。日本のゲームは、エンターテインメントとしてレベルが高いと思います。


リンアウンチョーさんミャンマー初とされる日本のポップカルチャーの愛好者団体「MM OTAKU」の創始者でリーダー。大学に入ってから日本のアニメやゲームのファンとなり、2011年に愛好者仲間とともに団体を立ち上げた。ヤンゴンに2軒のホビーショップを経営する。第一医科大学に在学中の25歳。
 MM OTAKUは2011年に設立して、はじめはインターネットにアニメの評論サイトを作るところから始めました。その後、2012年には初めてのコスプレイベントを開き、今では年に数回は開催しています。約1,500人が参加するイベントに育ちました。イベントは非営利ですが、会場費などの費用もかかるので来場者から入場料を取っています。今では、団体のメンバーは12,000人になっています。

 

――フィギュアなどを扱うホビーショップを経営していますね。ミャンマーのアニメファンは教育や所得の水準が高いというイメージがありますが、どのような人たちが顧客なのでしょうか。

 

「MM OTAKU」という名称で2店舗経営していますが、これは、団体ではなく私個人のビジネスです。1日30人から40人の客が来ますが、そんなに儲かるわけではないので、趣味みたいなものです。中華街にある1号店は、現在レゴが中心となっている一方で、サンチャウンの2号店にはフィギュアやガンダムのプラモデルなどの日本文化グッズを並べています。

 

ミャンマーのオタクは確かに、教育レベルが高い人が多いですね。2号店の顧客も、8割が大学生で、2割が勤め人だと思います。年代は若く、18歳から25歳くらいですね。男女は半々でしょうか。だいたい、みな英語を使いこなし、アニメの字幕を読むのにも苦労はしません。ミャンマー語の語彙は少し外国語とは違うので、原文ぴったりのニュアンスで訳すことはできないので、英語で理解するほうが楽しめるのです。

 

私の店では、自分のお金でほしい商品を買う人が多く、親に買ってもらうケースはあまりないと思います。公式のフィギュアですと10万チャット(=約8,000円)から50万チャット(=約4万円)と高額ですが、それでもほしいというコレクターもいます。それとは別に、中国製の商品ですと安いものでは500チャット(=約40円)からありますので、好みに合わせて選んでいただいていると思います。

 

――ミャンマーでは韓流ドラマが人気です。日本のコンテンツをもっと多くのミャンマーの人に知ってもらうには、どうしたらいいでしょうか。

 

そうですね。韓流ドラマは露出が多いですよね。テレビでは毎日やっているし、道ばたのDVD屋さんでも、たくさんのドラマが安く並んでいます。それに比べ、日本コンテンツは普通に生活をしていると、あまり見かけないですよ。日本のアニメは幸せな気分になれるよいストーリーの作品が多いですし、ミャンマー人にももっともっと知ってほしいと思いますね。

 

【インタビューを終えて】

ミャンマーの日本文化ファンの人たちは、とても多くの障害の乗り越えてコンテンツを入手して、楽しんでいる。台湾やタイなど、子どものころからドラえもんやドラゴンボールが身近にあった近隣諸国のオタクたちとは大きく異なり、自分からネットでアニメを探したり、友達から分けてもらったりと、多くの時間と手間を費やす。それも、母国語ではない英語で視聴しているのだ。

その姿を見ていると、「ミャンマーで日本のファンが増えている」というのは、日本のコンテンツの魅力もさることながら、彼らファン自身の力によるものが大きいと感じる。好きが高じて愛好者団体まで作ったリンアウンチョーさんの話を聞き、日本のコンテンツ関係者は、あまりにミャンマーのファンをないがしろにしていると思わざるを得ない。官民が一体となり、日本コンテンツの普及に力をいれることが必要だと改めて感じたインタビューだった。(掲載日2017年11月2日)