日緬共同制作ドラマ、「日本のこだわり伝えたい」 母国ミャンマーで人気急上昇の俳優・歌手の森崎ウィンさん

8月の日緬共同制作映画の発表記者会見以降、一躍ミャンマーのスターに躍り出たミャンマー人で日本で活動する俳優・歌手の森崎ウィンさん。記者会見の模様はフェイスブックで拡散、100万回以上再生された。ヤンゴンを訪れれば、数十人の女性ファンが空港に詰めかける。「ミャンマー人でもがんばれば日本で芸能人になれる」ことを証明したことが評価されている。来年初旬にミャンマーで公開される同映画と、彼自身の人生をなぞったテレビドラマの撮影を終えた森崎さんに、2つの祖国についての思いを聞いた。
――日緬共同制作の映画「My Country My Home」 とドラマ「My Dream My Life」 の撮影が終了したと聞いています。今のところの感想はいかがですか。

 

撮影が終わったばかりでまだ公開していないこともあって「両国をつなげることができた」というような実感はあまりないのですよね。ただ、今回のドラマは、幼いときにミャンマーから日本に来て芸能界デビューするという、ほとんど等身大の僕の話です。おばあちゃんの思い出の曲も作りました。恥ずかしいですよね、自分の話なので、裸にされているみたいで。その代わり、新しい自分を発見して、成長することができたと思います。

 

映画では、ミャンマーのロケも多く、有名な俳優さんと共演させていただきました。皆さん気さくに話しかけていただいて、楽しく撮影ができました。またやりたいと思える経験でした。それでも、カルチャーショックは大きかったですね。例えば、ごはんの時間の使い方などがゆったりとしていて、変に余裕を持たそうとしているようで、時間に厳しい日本とは違いましたね。僕はミャンマー生まれとはいっても、小学校の時に日本に来て、日本の感覚になっていたのですね。お互いやり方が違いますから、共同制作というのは大変なんだと実感しました。

 


森崎ウィン(もりさき・うぃん)さん 

 

1990年ミャンマー生まれ。小学校時代にミャンマー人の両親とともに日本に転居した。2008年にドラマ「学校じゃ教えられない!」で俳優デビュー。同年にダンスボーカルユニット「PrizmaX」に加入、メインボーカルを務める。主に俳優と歌手として活動する。2018年MNTVで放送予定の日緬共同制作ドラマ「My Dream My Life」で主演する。

 ――それにしても、記者会見以降、ミャンマーでは女性を中心としてすごい人気ですね。ほんの数か月前までの状況とは全く違いますね。

 

本当にその通りで、驚いています。ただ、僕は現実主義者でして、こういう人気は一時的なものだと思うのです。といいますのも、これで調子に乗るのではなく、地に足をつけた活動をしたいと考えています。例えば、役者としていい芝居をして、「ああ、ウィンが出ているから見てみよう」というような評価をされたいと思っています。歌手としては、本当に歌がうまくて、ライブに行きたいと思わせるようなステージを目指したいと思います。もちろん、今回のような人気は非常にチャンスで、この状態をキープしたいと思うのですが、その分期待に応えるために頑張らないといけないですね。

 

――今回はミャンマーの人向けのドラマと映画になります。伝えたいことは何ですか。

 

今回の撮影の中で、共演者のナン・トレイシーさんから、「最近のミャンマーの若者はあまり一生懸命働かない」という話を聞きました。どの国にもそういう人はいると思います。しかし、だれしも夢があって、それは現実的にかなわないこともあるけど、それでも言い続けることが大切なんじゃないかと思うのです。言霊ではないですけれど、「絶対やるんだ」と言い聞かせていれば、何かしらがあるはずだと思うのです。そうしたことを伝えたいと思いました。また、ミャンマーの人に、「日本のこだわり」もわかってほしいですね。日本人はプロというか、職人というか、非常にこだわりますよね。たとえば、セットの時計にしても、針がどこを指しているかという細かい点までこだわります。ミャンマーでは「これでいいや」というところがあるので、そういう日本の良さを伝えたいと思います。

 

――これからどんな目標がありますか。

 

私の母国はミャンマーと日本の両方なので、両国の懸け橋として活動したいと思っています。僕はグループの「PrizmaX」として活動しているので、グループでミャンマーでワンマンライブをやりたいですね。アジアツアーをやるのが夢なんです。また個人としてはミャンマーと日本の関係を勉強して、いつか映画を作りたいと思います。自分も企画段階から入りたいと思っています。ミャンマーはいろんな足りないところがあるのも事実ですが、業界関係者の方にはぜひミャンマーを盛り上げていただけるよう、お願いしたいと思います。

 

【インタビューを終えて】

小学生のころ、何もわからないまま日本に来て、そこで努力を重ねて俳優と歌手という現在の地位を得た森崎ウィンさん。日本の大手事務所に属し、厳しい日本の芸能界で生き延びてきた彼が、母国の人間と仕事をした際に、複雑な思いが去来しただろうことを感じさせるインタビューだった。今後どんどん増えてくると思われるミャンマーでの仕事を経て、どのようなアイデンティティを持ち、どう成長していくのか、とても楽しみだ。世界から取り残されていると感じているミャンマー人に、「夢を言い続け、一生懸命がんばれば道は開ける」という希望をこれからも身をもって示してあげてほしい。(掲載日2017年11月10日)