華僑ネットワークをフル活用、「中国の最高品質をミャンマーに」 日本語使いこなす中国人、日和ネットワーク社長の許さん

ミャンマーには、華僑・華人が多く生活している。ビジネスシーンをみても、多くの中国系ミャンマー人や、中国企業が事業を展開しているのが目立つ。そうした中で、日本人を相手に上海で商売をしていた日和ネットワーク社長の許昌奎さんは、いまヤンゴンで事業を拡大している。日本人にはわかりづらい、中国人のミャンマービジネスについて聞いた。

 

――もともと許さんは上海で起業されたと聞いています。どうしてミャンマーに進出したのですか。

そうですね。私は、中国・上海で、コンピューターネットワークの会社と、内装などの会社を経営していました。POS(販売時点情報管理)システム、監視カメラ、コンピューターサーバーなど仕事が多かったですね。日本で仕事をしていた経験があり、日本語ができますので、顧客の多くは日本企業だったのです。しかし、顧客の日本企業がどんどん中国から移転していき、仕事が少なくなっていきました。

 

そんな中で、私の顧客だった日本のビジネスマンの友達が、「ミャンマーでは許さんのような会社はないので手伝ってほしい」と言われ、仕事を紹介され、試しに2週間来てみたのです。その時には検品工場の警備システムを納入しました。

 

それが2013年の水祭り直後の暑い季節だと覚えていますが、ミャンマーはまさにこれからの国だと感じ、とても気に入りました。始めは、2か月に一回くらいの出張で来ていたのですが、ここ2年ほどは上海半分、ミャンマー半分となり、、最近はミャンマーのほうが多くなっていますね。最初は監視カメラやドアロックを手がけました。カード式や指紋式、顔認証のロックなどを扱っています。ミャンマーのこうした機器はほとんどが中国製です。私は中国の業者とネットワークがあるので、直接仕入れることができ、故障時の対応も素早くできます。シンガポール経由で輸入しているミャンマー企業よりも有利です。そのほかは、ブレーカーやUPS(無停電電気装置)などの電気関連ですね。UPSは3年保証しており、ミャンマーでは例がないと考えています。商品を多めに購入して、問題があれば無償で交換します。


許昌奎(きょ・しょうけい)さん1974年中国吉林省生まれ。朝鮮族。ヤンゴン日和ネットワーク、上海日和ネットワークなどの社長を務める。日本に滞在後、上海で起業した。2013年に来緬して事業を開始。中・英・日・韓の4か国語を使いこなす。
――中国人であることでミャンマーでのビジネスに有利なことはありますか。

 

ミャンマーには華僑が多いので、幅広いコミュニティがあります。こんな業者がいないかと聞けば、すぐ見つかりますね。これは日本人のネットワークでは見つからないでしょうね。華僑はミャンマー人ですから、ほとんどの分野に繋がっています。華僑ネットワークで情報をもらったりもしています。

 

ミャンマーの大半の商品は中国から来ています。中国につてのない企業に、中国から直接仕入れたものを販売できるのが私のビジネスの特徴ですね。顧客が求めるものは何でも中国から調達します。これは、中国にネットワークがないと難しいのでミャンマー企業にも、日本企業にもできません。例えば、ミャンマーにはオフィスなどの配線のためのOAフロアがないのですが、オフィスビルなどには必須の資材です。日本が手掛ける発電所など品質の要求が厳しいところにも、適合した製品を納入しています。

 

ミャンマーでは中国製の商品の評判がよくありませんが、それは中国製品の中で品質の悪いものばかり流れてくるからです。それは間のエージェントが利益をとるために、始めはよい製品を売っていても、そのうち悪いものを仕入れるようになっているのです。安いものがたくさん売れるので、そうなってしまっています。しかし、私は最高品質の中国製品を、ミャンマーに適した値段で販売しています。

 

――今後の展望を教えてください。

 

ミャンマー企業向けのビジネスに力を入れるつもりです。例えば、POSシステムです。中国最大のPOSシステムのメーカーのミャンマー総代理店となりました。このメーカーは中国で最大シェアですので、よくできているうえに、日本メーカーと比べると価格が格段に安いのです。ミャンマー企業は初期投資の資金を出すのが厳しいので、安いほうがいいですね。日本メーカーですと、安くても1,500ドルくらいですが、私たちはその三分の一から五分の一くらいでできます。日本メーカーで1,500ドルから5,000ドルするものを、私が「500ドルです」というとみなびっくりしますね。

 

【インタビューを終えて】

ミャンマーをラストフロンティアと考えているのは、日本人だけではない。許さんのような中国のビジネスマンも、「チャイナプラスワン」の流れで海外のビジネスを模索している。大企業の駐在員が多い日本人に比べ、中国からは許さんのように裸一貫でビジネスをする人も多く目につく。許さんも、自分の語学力やネットワークなどをフル活用してビジネスをしている。このフロンティア精神には学ぶものが多いと感じた(掲載日2018年4月20日)