「携帯電話はローンで拡大」 iPhone販売するジャパンワイヤレスの益満裕輔さん

2012年の民政移管以降の対外開放政策で、瞬く間に広がったミャンマーの携帯電話市場。その将来性に目を付け、携帯電話の販売と修理などを手掛けるのが、販売店「ジャパンワイヤレス」のゼネラルマネジャー、益満裕輔さんだ。ミャンマーの携帯電話市場で何が起こっているのか、益満さんに聞いた。
――iPhoneの販売や修理を手掛ける店舗がジャパンワイヤレスですね。具体的にはどのようなビジネスモデルなのでしょうか。

 

はい、iPhoneの販売のほか、修理、レンタルなどを行っています。メインは販売ですね。携帯電話は、大きく分けると新品、中古品、そして初期不良で返品された商品などほぼ新品と変わらないリファービッシュ品というのがあるのですが、私たちが扱っているのは、リファービッシュ品です。

 

ミャンマーには様々な形でiPhoneが輸入されています。香港モデルやシンガポールモデルなどが出回っていますが、航空便によるハンドキャリーや、タイ国境を陸路で運ばれてくるものなどがあり、きちんと関税を支払っていないものもあります。私たちはシンガポール経由で仕入れ、関税も支払っていますが、それでも新品と比べ10万チャット(=約8,000円)ほど安い価格設定が可能となっています。


益満裕輔(ますみつ・ゆうすけ)さん 

1985年、鹿児島県生まれ。地元の高校卒業後、音楽の道を志して上京、音楽の専門学校に通う。その後、不動産業などを経て、2014年に渡緬。今の店舗の前身となる携帯電話の販売事業を立ち上げる。現在、日系企業のビリッジが運営する携帯電話販売店「ジャパンワイヤレス」ゼネラルマネジャー。

そのほか、iPhoneの出張修理も行っています。交通費として5,000チャット(=約400円)から1万チャット(=約800円)程度を追加でいただきますが、ほぼ価格は変わりません。ディスプレイパネルの破損などを部品交換では、利用するパーツのランクによって価格が異なります。ミャンマーの業者では、それぞれ大きさが違うiPhoneのねじを失くしてしまうなどのトラブルが多く、うちでは細心の注意を払っています。一方で、日本ではなかなかできないICチップの修理を請け負う技術者もヤンゴンにはおり、そういった業者を紹介することもできます。

 

――ミャンマーの携帯電話は、数年前まで高いものでは数十万円したというSIMカードの価格が、対外開放政策や規制緩和で大幅に下がり、スマートフォンは1人に1台という時代に入ったと言っていいと思います。携帯電話端末の市場環境を教えてください。

 

実はミャンマーでは、iPhoneの発売当初こそ高い値がつきますが、半年ほどたって落ち着いてくると、日本と同程度か、それ以下の水準に下がってくるという傾向があります。弊社の顧客の多くは20代で、銀行やマスコミなどに勤めているホワイトカラーの会社員です。女性のほうが若干多いでしょうか。面白いのは、そういったホワイトカラーでも、ほとんどの人が携帯電話を購入する際にはイオングループのローンなど、公式なもの非公式なものを問わず、分割払いなどの仕組みを利用していることです。50万チャット(=約4万円)程度の現金をすぐに支払える人は多くなく、また貯金がある人も分割払いにする傾向が強いのです。

 

ミャンマーの人は素直なので、欲しいものは欲しいということですぐに買いたがります。しかし例えば、イオングループのローンでは、18か月の返済期間になっていますので、この期間は新しい借り入れができず、ニューバージョンの携帯電話が発売されたとしても、すぐに買うことができません。そこで私たちは、既存顧客らにはローンの返済が終わるころに営業をかける作戦をとっています。

 

――店舗を移転して新装開店すると聞きました。今後の展開を教えてください。

 

現在はダウンタウンのボーアウンジョー通りに店を構えていますが、業務拡大で手狭になったので、10月中旬からマハバンドゥーラ通り沿いに移転します。携帯電話だけでなく、日本メーカーの美容家電など少し幅を広げて、日本の製品を扱う店舗にする予定です。

 

私が2014年にミャンマーに来たときは、ミャンマーでビジネスの実績を積みたいと思っていました。しかし来てみると、事業が大変面白く、今後も長くミャンマーでビジネスをしたいと思うようになりました。携帯電話にかかわらず、面白いビジネスをしかけられたらと思っています。

 

【インタビューを終えて】

ミャンマーの携帯電話の利用者数は急増する一方で、ヤンゴンに正規の販売店やサービス拠点は少なく、非公式な販売ルートや修理店が利用者を支えているといえる。2014年の段階でそこに商機を見出してヤンゴンで挑戦したのが益満さんだ。ビジネスチャンスが多い一方で、ミャンマー人や中国系ビジネスマンなど多数の競合が存在し、レッドオーシャン市場となりつつあるのも事実だ。激変する市場環境の中で、ぜひチャンスをものにして欲しい。(掲載日 2017年9月29日)