一風堂をヤンゴンに 「5年で10店をオープン」 投資会社SMI社長のマーク・ベディンガムさん

ミャンマーの進出企業が頭を抱える問題のひとつが、パートナー選びだ。国内の企業育成が進んでいないため、提携相手の選択の幅が狭いのが実情だ。そんな中で、ミャンマー進出の先兵として事業を急拡大しているのが、シンガポール上場の投資会社、シンガポール・ミャンマー・インベストコだ。4月中にも日本のラーメンチェーン「一風堂」をヤンゴンに開店するほか、資生堂とも独占販売契約を締結。物流大手のセンコーとの合弁でミャンマーにコールドチェーンを築こうとしている。同社がなぜミャンマービジネスを広げているのか、同社のマーク・ベデインガム社長兼最高経営責任者(CEO)に聞いた。

 

――SMIがフランチャイジーとして運営する一風堂がいよいよオープンしますね。新しいヤンゴンのランドマークとなりそうなジャンクションシティ内の好立地で、高級感あふれる店舗に仕上がっていますね。どうして一風堂がミャンマーで受けると考えたのですか。

 

もともと、私は高級化粧品やワインなどを扱っていましたので、消費関連ビジネスの経験があります。シンガポールなどアジア各地で展開する一風堂のコンセプトを目にして、ミャンマーの消費者に合うと考えました。一風堂を運営する力の源ホールディングスとは、交渉に1年を要しました。今後は、5年間で10店舗を出店するつもりです。

 

ミャンマーには十分な高所得層が存在するのに、国内にお金を使う場所がありませんでした。上質な商品やサービスを求める人は、シンガポールやバンコクに行くしかなかったのです。しかし、ジャンクションシティのような高級ショッピングセンターも現れ、今後は国内での消費が盛んになるでしょう。今の段階では、まだ競合が少ないこともこの国の特徴です。飲食関連では、喫茶店チェーンのコーヒービーン、中華料理のクリスタルジェイドも展開して行きます。

 

――ミャンマーでは飲食のほかにも、多くのパートナーと組んで手広く事業を展開していますね。

 

私が2014年にミャンマー事業を立ち上げてからのことですから、かなり多くのことになりますね。様々な案件の中から、良いものを選んで投資しています。すでにミャンマーには3,000万ドル以上投資をしており、今後も大規模な投資をしたいと思っています。

 

現在は5つの分野で事業を行っています。消費者向けの事業が多いですね。飲食のほかに、小売り関連事業を行っています。ヤンゴン国際空港で約500平方メートルの免税店エリアの運営しています。高級ブランドのほか、日本の紀伊國屋書店を誘致しました。そのほか「ヨーロッパカー」ブランドで、レンタカー事業を展開しています。この事業は伸びており、すでに150台の車両で展開しています。また、日本のセンコーとの合弁で行っている物流事業もうまくいっています。現在ヤンゴン空港近くに物流倉庫を設けていますが、2つ目の拠点となる場所を探しているところです。最後は建設関連ですが、この分野も大きな商機があります。今後もこの5分野を中心に投資することになると思います。

 

ミャンマーではパートナー探しが難しいと言われますが、SMIは国際的なビジネス感覚があり、シンガポール証券取引所に上場していることから透明性も高く、外資系企業のパートナーとしての安心感があると思います。一方で、ミャンマー側ともネットワークを構築しています。実は、私が最初にミャンマーを訪れたのは、1996年でした。それから長い間実際にビジネスを始めることはありませんでしたが、地元の経営者と人脈を作ってきたのです。今そのネットワークが生きていますね。

 

――ミャンマーの将来に経済の将来性とリスクをどう捉えていますか。

 

2014年にSMIに参画した際には、新興市場で事業を始めようと考え、ベトナム、カンボジア、ミャンマーをリサーチしました。そこで、ベトナムはすでに発展しすぎているし、カンボジアよりミャンマーの方がポテンシャルがあると考えました。リスクは他の新興国と同様で、ミャンマー特有のことと考えていません。法規制が未整備で先を見通すことが困難ですし、不安定な通貨も明らかにリスクといえるでしょう。ミャンマー政府には、政策の一貫性を求めていきたいですね。

 

【インタビューを終えて】

ミャンマーでは長く続いた閉鎖的な経済政策や欧米の経済制裁の結果として、国際的な水準のビジネスができる企業が十分に育ってきていない。ミャンマーへの進出を模索する外資系企業にとっても、提携先を探すのは一苦労だ。そうした中で、橋渡し役を務めるSMIの存在は心強いものに違いない。べディンガムさんは15年間の日本暮らしの経験もあり、日本企業との交渉のすべも心得ている。今後もミャンマービジネスのキーマンの一人であることは間違いないだろう。(掲載日2017年3月31日)