証券取引所の運営に対して政府内論争。証券取引所の活性化には時間を要する予感。

【経済】中央銀行副総裁、ヤンゴン証取所は投資を浪費していると 批判

(2017年11月1日 第699号)

ミャンマー中央銀行のボーボーンゲー副総裁は 10 月 28 日にパラミインスティテュートが開催した財務・経済に関する講演会で、現在のヤンゴン証券取引所は無意味に費用がかさみ、投資を浪費して いると述べた。
同副総裁は「大きな変革が起きているミャンマーにおいて同証取所を開設したが、証取に関する知識が足りていないため、近隣国のように証取所に資金を割く必要はない」と述べた。
この意見に関して、ヤンゴン証取所設立に大きく関わっていたマウンマウンテイン前財務副大臣は 「すべてが整ってから始めるのではなく、事業を行いながら整備していけばよい。整うのを待っていてはいつまでも始められない。近隣国は独立してから4~5年で証取所を開設したが、ミャンマーは独立後 60 年以上経っている」と述べた。
現在同証取所での取引は減少しており、上場企業の株価も下落している。取引されているのは以前に発行された株で、新規公開株もない。しかし貨幣証券事業管理委員会のティンメーウー氏によ ると、年末には新規公開株と新たな上場が予定されているため、再び活気を取り戻すと予想されて いるという。
ヤンゴン証取所設立計画は 1996 年からあったが、テインセイン前大統領政権下の 2015 年 12 月に ようやく開設に至った。
(10 月 30 日発行/The Voice 上の記事を再編集)

【編集部所感】

証券取引所に関する関係者同士のやりとりが報道されている。なかなか悩ましい議論ではあるが、どちらも言いたいことはわかる。証券取引所の動きを見れば、上場した企業の株価は、上場時から軒並み下落しており、活性化しているとはいえない。現在、上場準備中の企業があるとのことだが、新規公開もしばらくはない状況だ。
オンライン取引もはじまる計画があり、この先 外国人が株式購入をできるようになる、との見通しもあり、今以上に活性化する可能性はある。
しかし、個人的な感想としては、やはり株式市場の活性化は難しいと思う。というのも、株取引に利用されるのは、現地通貨のミャンマー・チャットであり、為替リスクは抱えている。現地通貨の運用で考えれば、銀行金利が8%を超えており、株の運用(配当利回りやキャピタルゲイン)で、それ以上の運用を狙うのは簡単ではないように思う。
そして、そもそも株取引に対する認識は、一般の人々にとって馴染みが薄い。現金に対する信頼度も低いため、資産家は、安全な資産である、宝石や不動産での運用を考えるケースも多いのが現状だ。証券取引所も、積極的にPR活動を展開してはいるものの、もう少し時間は掛かりそうだ。

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